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年の瀬のご挨拶

2018.12.31槇島 藍

2018年もあと少しで終わりになりますね。

今年は新たにサイトができたり、夏のくるみギャラリーでの展覧会やお世話になっているブーピー工房の展覧会、石田倉庫のオープンアトリエなど、たくさんの場所でお世話になりました。関わってくれた方々に心より感謝いたします。ありがとうございます。

描くことについて、教室について、2018年で自分が考えていることを、まとめておこうと思います。いま、私はアトリエを借りて主な制作場所にして、絵画教室で絵を教えています。絵を描きはじめたのが高校2年生の頃で16歳だから、トータル20年くらい油絵やデッサンやらなんやかやしていたわけです。長いような短いような・・・。ここまで続いたのは、そんなに絵がうまくなかったことと、絵が好きだったから、というのんきな理由と。あと描くことによって、なんとか生き延びることができた、という側面もあるかと思います。

だいそれたことではないのです。中学の美術部で覚えた見て描くクロッキーという行為は、描くときのトレーニングでもあり、カメラ以上に「うつせる」ものだと思っていて、目をとおして手を描くことで、よくみることができて、描く線のために「よくみる」という行為が大事で、そこで思ったこと、時間、空気そのもの、を、わずかでも「うつせる」からカメラとちょっと違った次元で「のこせる」のです。たとえば生活の中で楽しいことやその瞬間をのこせたら嬉しいですよね。自分でやっているクロッキーは心が動く瞬間、日々の暮らしや、大事な人が亡くなったときや、新しく生まれたときなどを、等しく描けるといいなと思っています。

日常でもいろんな感情が動いて、描いたりすることは贅沢なことではなくて、日常の彩りというか、自分の定点観測みたいな。マッサージみたく、やらなくてもいいけど、やるとちょっと違う、みたいなことたど思います。

油絵を描くのは道具もそろえなきゃいけないし、キャンバスを用意したり、乾くのに時間はかかる、道具の手入れにも時間がかかる、絵の具もなんだか高い。難儀なことばかりですが、油絵の楽しいところはクロッキーとは別で、イメージが複雑に立ちあがる素材の楽しさなのではないかと思っています。イメージを固定化するのはいまパソコンでいくらでもできるけど、画像だけじゃなくて、手触りを込みで、自分のうつしたいもの、みたいのもの、を固着する力がつよい、美しく包容力のある素材が油絵の具なのです。あとは時間を超えて残せることも面白いです。100年以上も前の油絵をみて、昔の画家の考えていたこと、感じたことを、みることができるのも、魅力的な素材です。「今」を定点にとどめて、先の先のほうで誰かが過去の「今」の時間を見たりできるは、なんだか愉快なことだと思います。来年は3月からプレオープンする自分のアトリエでの絵画教室「アトリエ・アオ」と、もっとたくさん油絵やデッサンを描いて、元気いっぱいに毎日を送っていきたいです。

2019年もどうぞ宜しくお願いします。